おかしくなる

おかしくなる



最近、友達に恋人ができた。

嫉妬はしてない。ご祝儀を渡してきた。

けど......もう一人の友人に恋人が出来るのを想像してもやもやとする日々を送ることになっている。

友達に君に恋人が出来たせいで!!とか言うつもりはない。

そんなの八つ当たりでしかないことも、私がもやもやしているのはきっと私のせいなんだろうということもきちんと考えられる。

私はどこかおかしいのかもしれない。

友人に恋人が出来たら、お祝いをするべきだと思う今回みたいに......きちんと祝儀を渡して祝うべきだって思う。

のに、それを嫌だと思ってしまうのだから、きっと私はおかしい。

「ぇ……ねぇ、聞いてる?」

「ごねん。なんの話だっけ?」

知人に声をかけられ、そういえば今は目の前の知人の話を聞いていたんだったと現実に戻される。

「最近友達が冷たくてさ〜、彼氏が出来たからなのかな〜って、どう思う?」

「恋愛経験も無いし友達も碌にいない私に聞くな。としか言えないかな。」

「え〜......真面目に相談乗ってよ〜」

そんな知人の声を横目に、「彼氏が出来たから友達がつめたいのかな?」という発言について考える。

あの友人も、彼氏……じゃなくて彼女か?.....恋人が出来たりしたら私に冷たくなるのだろうか。

それは嫌だな。

恋人が出来ても今までと同じように......いや、恋人よりもっと親しい感じの、そんな奴として余裕を持っていたい。

私の立ち位置が恋人よりも親しいなんてことは全然無いし、こんなことを考えている時点で余裕も何もあったもんじゃないが、友人の恋人相手でも余裕綽々みたいな顔をしていたいと思う。

でも、恋人なんて出来たらそれはきっと特別な存在で......私が余裕綽々の表情をしながら内心焦ってても、相手に貴方はこんな所知らないでしょうとマウントを取ろうとしても、きっと相手の方が余裕綽々で、それで相手の方が私の知らない友人を知っているんだろう。

そしてきっとその恋人は、「私の友人に一番に大切にされる」

......それは、とても嫌だと思う。

でも、きっとそうなるんだ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。

おかしいとは思う。

人の事なのに嫌だと思って、何も起こってないのに止めたいと思うなんて。

でも、それがとっても嫌だと思うから、多分私は......おかしい、おかしくなってしまったんだろう。

「......恋の病ってやつなのかな。」

ふと顔を上げる。友人はもう居なくなっていた。

小声で呟いてくるり、とストローを動かすとカラリと氷の回る音がした。

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